Yoshitake Hashimoto

読書メモ 読書を繋ぐ 繋げる読書 交差する思想

2019-01-01から1年間の記事一覧

人類哲学序説 梅原猛著 【続き】

梅原は、ハイデガーの詩的世界、存在の哲学も現代文明の救済の哲学とはなり得ないという。 ハイデガーの主張するその思想とは、詩をつくるのは人間のみ、言葉をもつのは人間だけで、「存在」は言葉によってしか現れないというからだ。 新約聖書のヨハネ伝の…

人類哲学序説 梅原猛著 

以前、ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』を読んだ。 認知革命、農業革命、科学革命、シンギュラリティへと、700万年前からの人類史を概観しながらも、我々はシステムに絡め取られてるのではないかと、文明を批判している。果たして文明は進歩した…

カネと暴力の系譜学 萱野稔人著

カネを巡る、国家と資本の起源についての哲学的考察。 国家とは合法的な物理的暴力を行使できる共同体であると、社会学者マックス・ウェーバーの有名な定義を引用しつつ、国家による税の徴収力の源泉がここにあると言う。〈暴力への権利〉 また、国家の起源…

資本主義の終わりか、人間の終焉か? 未来への大分岐 マルクス・ガブリエル マイケル・ハート ポール・メイソン 斎藤幸平編

NHK「欲望の資本主義」で話題となった哲学者、マルクス・ガブリエルの「新実在論」理解のために読んだ。 ガブリエルのいう「新実在論」の意味するところは、「ものが存在するそのままのあり方に、態度を合わせよ。」ということ。 存在する事実を承認し、その…

リベラリズムの終わり その限界と未来 萱野稔人著 【続き】

パイの分配論において、現代リベラリズムの古典、ジョン・ロールズ著『正義論』の読み直しも府に落ちた。 ロールズのリベラリズムは功利主義的で条件付きリベラリズム。けっして無条件ではなかった。 そもそもパイの分配はリベラリズムに基づく哲学原理では…

リベラリズムの終わり その限界と未来 萱野稔人著

フーコー、ドゥルーズ=ガタリを軸にした国家論、暴力論で著名な哲学者によるリベラリズム限界論。 リベラリズムの限界とは、その社会の規範意識を超えることはなく、社会の最高原理とはけっしてなり得ないことだ。なぜ、リベラル派が欺瞞的にみえ凋落著しい…

西洋の自死 ダグラス・マレー著

リベラルな移民政策がリベラルな社会を喪失しつつある現代ヨーロッパ社会に警鐘を鳴らす書。 第二次世界大戦後、移民を受け入れてきた西洋の多文化主義がムスリム移民の宗教観の前で脆くも崩れていく様が描かれる。 改めて、保守思想について考えさせられる。…