Yoshitake Hashimoto

読書メモ 読書を繋ぐ 繋げる読書 交差する思想

2020-01-01から1年間の記事一覧

はじめてのスピノザ 自由へのエチカ 國分功一郎著

忘れられた17世紀の哲学者、バールーフ・デ・スピノザ(1632-1677)について。 そしてその現代的意味を問う。 近代哲学はデカルト(1596-1650)を父祖とし、その認識論はカントに引き継がれ、ヘーゲルを頂点とする。 スピノザはデカルトと同時代に生きたが、…

遊動論 柳田國男と山人 柄谷行人著

農商務省(現農水省)の農政官僚である柳田國男(1875-1962)が、なぜ民俗学を研究し、日本人の原初的思考へ向かうべく山人考なる思索、考察を深めたのか。 柳田の思想的足跡を辿る、哲学者柄谷行人による柳田國男論。 柳田國男は吉野作造とともに普通選挙を…

『人新世の資本論 斎藤幸平』『カール・マルクス 「資本主義」と戦った社会思想家 佐々木隆治』

カール・マルクス(Karl Marx 1818-1883)について。 両著者とも新MEGA(Marx-Engels-Gesamtausgabe )の編集に携わり、マルクス晩年の研究ノートを基づいて新たなマルクスの側面を描き出している。それはエコロジストとしてのマルクス。 研究ノートによれば…

五日市憲法 新井勝紘著

明治初期、自由民権運動のなかで生まれた民衆による民衆のための憲法草案があった。 正式名称「日本帝国憲法」。 五日市の民権派を中心に起草されたから、のちに「五日市憲法」と名付けられた。 大日本帝国憲法が全76条あるのに対して、五日市憲法草案は204…

ホッブズ リヴァイアサンの哲学者 田中浩著

近代政治思想の原点について改めて学ぶために読む。 社会契約説の祖、トマス・ホッブズ(1588〜1679)の時代背景と、その近代自然法思想の発展について。 社会契約説とは、人は生まれながらに自由であり、自己保存の権利、自然権をもつ。しかしながら、各々…

ニック・ランドと新反動主義 木澤佐登志著

自由と民主主義は両立するのか、という近代政治思想的な問いがある。 もっと言うと、資本主義的な自由と平等主義的なリベラル民主主義は両立するのか、ということだと思う。 本書は、この平等主義的な民主主義に見切りをつけたリバタリアニズム、新反動主義…

目からウロコが落ちる奇跡の経済教室(基礎知識編) 中野剛志著

現代貨幣理論(MMT)について理解のために読んだ。 経済ナショナリズム論で著名な著者による、まさに目からウロコが落ちる経済学入門でもあるが、現代貨幣理論の貨幣について定義が非常に興味深い。 それは、「通貨の価値を裏付けるものとは、租税を徴収する…

資本主義の歴史 ユルゲン・コッカ著

資本主義の起源と拡大を考察することは、歴史的に形成されてきた仕組み、そして現在の我々の立っている基盤を省みることでもある。 グローバリズムとナショナリズムの関係性を問い直し、行き過ぎた資本主義をどう「埋め込む」か、という問題に直面するのかも…

民俗学 宮田登著

民俗学など全く関心などなかったのに、異文化に触れたりしたせいか、自らのアイデンティティについて考えざるを得ないことに気づいた。 学問の大部分が明治以降、西洋から輸入され発展してきたが、唯一、民俗学だけが民間の研究者によって担われきた、という…